大阪淀屋橋のコワーキングスペース・ScribbleOsakaLab運営ブログ

大阪メトロ御堂筋線「淀屋橋」駅1番出口より徒歩4分。大阪市役所北側すぐのイベント・コワーキングスペースの運営ブログです。

大江橋北詰ホンマモン計画のこと。~其の三

第4回(2018年8月29日(水)、第5回(2018年9月12日(水) はバリバリの本格派ベンチャーが続きました。

名古屋の創薬ベンチャー、福岡のAI・IoTベンチャー、京都の新材料ベンチャー、いずれも大規模な資金調達を終え、組織を次のステージへと飛躍させるための経験豊富な人材の確保に成功し、これまで種を撒き、育ててきた果実を今まさにもぎ取らんとする、そんな野心と高揚にみなぎっていました。

登壇者は下記のとおり(所属・職位は開催時)。

 

〇第4回『創業から資金調達に至る経緯と出資の現実』

ラクオリア創薬株式会社・財務経理部長 武内 博文 氏

株式会社スカイディスク・代表取締役 橋本 司 氏

ニッセイ・キャピタル株式会社・シニアベンチャーキャピタリスト 井本 潤一 氏

 

〇第5回『第一部・ベンチャー企業と間接金融/第二部・ゼロからのハイテクベンチャー起業』

わかば経営会計・代表/公認会計士・税理士・中小企業診断士 大磯 毅 氏

株式会社 FLOSFIA・代表取締役社長 人羅 俊実 氏

株式会社 FLOSFIA・取締役管理担当 間嶋 千波 氏

京都大学助教 金子 健太郎

 

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第4回・第一部の武内氏からは、一般的な創薬ベンチャーが新薬を上市するまでの大まかな流れと資金調達の現状を示していただきました。想像に難くないですが、ベンチャーが新薬を世に送り出すまではまさに茨の道。研究開発、知財、財務、あらゆるプロフェッショナルが総力を結集して事業運営し、やっとひとつ新薬が出るか出ないか。当然資金の出し手も慎重になります。財務のプロフェッショナルとして製薬業界の内情を知り尽くした武内氏からのレクチャーは大変参考になりました。

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続く第二部では、株式会社スカイディスクの橋本氏とニッセイキャピタルの井本氏がバディ形式で登壇。橋本氏から資金調達に至るまでの井本氏との恋人よりも濃密な(?)往復書簡(メールの遣り取り)についてお話しいただきました。

大抵はベンチャーキャピタリストからの厳しい要求水準についていけず、次第にメールの頻度も落ち、徐々にフェイドアウトしていくそうですが、橋本氏は必死に食らいつき、事業計画をより精緻なものへと磨き上げていったとのこと。

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ベンチャーとVCの関係性は結婚にも例えられる通り、相手をよく吟味したうえで選ばないと蜜月関係は長くは続きません。そういう意味ではお二人の相性は抜群。

元研究者であり技術の目利きに長けた井本氏と、企業でのエンジニア経験と大学での研究を経て人工知能分野で起業された橋本氏とが、お互いに切磋琢磨する二人三脚関係を構築されていることがよく分かりました。

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さて、これまでエクイティでの資金調達ばかりに目が行きがちでしたが、第5回では「ベンチャー企業と間接金融」をテーマにわかば経営会計の大磯氏からレクチャーいただきました。

「返さなくてよいのがエクイティで、返さなきゃならないのがデッド」ーそんなざっくりとした考えでは痛い目に遭います。きちんと返してしまえば議決権も取られず、それ以上のリターンも求められないのが間接金融ー当然重要な選択肢の一つです。

近年、日本政策金融公庫その他民間の金融機関からベンチャー向けの資本性ローンなどの商品も充実化しつつあります。うまく活用すれば資金のないスタートアップにとって大いなる助けとなることでしょう。

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第二部では株式会社FLOSFIAの人羅氏と共同創業者である京都大学の金子氏、取締役管理担当の間嶋氏がご登壇。

同社は金子氏の技術シーズである半導体新材料・コランダム構造酸化ガリウムα-Ga2O3を使ったパワーデバイスなどの開発を手掛けており、既に世界トップデータ実証に成功。いよいよ市場展開を進めていく段階です。民生用の市場がターゲットであり、そのビジネスインパクトは計り知れません。
同社の内部統制や知財戦略はVCから高く評価されているとのこと。その重責の一旦を担うのが取締役管理担当の間嶋氏。そうした有能な人材をどうしたら採用できるのかという会場からの質問に人羅氏「ハローワークに求人を出しました。」

同じく知財のプロフェッショナルもいくつかの重要なキャリアを経て、たまたま転職のタイミングにハローワークでFLOSFIAの求人票にピンと来て、面接・採用に至ったというから不思議。


ここまで、そしてこのあとのホンマモン計画にも共通して言えるのが、成功する起業家は「人との出会い力」がすごい。出会うべき時に出会うべき人に出会う、その引き寄せる力が半端ない。もちろん良い出会いばかりでもなく、時に人との出会いに泣かされることもあるでしょう。それでも人を信じなければ事業は一つも前には進みません。あるいは本来普通の出会いに終わるものも、起業家自身のビジョンやスタートアップ内部の力学が素晴らしい出会いに変えてしまっているのかもしれません。

ホンマモン計画もそうした出会いを加速させる場を目指していきたいと思います!

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次回第10回は2月13日(水)開催です!詳細及びお申込みは下記より!

honmamon20190213.peatix.com

 

(其の四に続く。)

大江橋北詰ホンマモン計画のこと。〜其の二

今回は2018年7月の第3回についてご報告したいと思います。

まずタイトルと登壇者から。

 

◯2018年7月19日(木)『資金調達のリアル』

 株式会社プルータスコンサルティング 島田 光太郎 氏

 コバコ株式会社・代表取締役/たにぐち税理士公認会計士事務所 代表 谷口 悠一 氏

 株式会社SAMBAR・代表取締役 堀池 広樹 氏

 

 第3回ではまず第一部で株式会社プルータスコンサルティングの島田光太郎氏から、同社のM&A業務のご紹介がありました。ここでも、M&A業務がバイサイドとセルサイド、両者の仲介をするところに内在する”利益相反”という不都合な真実があぶり出されました。

 同社は必ずバイサイドかセルサイド、いずれか一方のFA(フィナンシャルアドバイザー)に入るという立ち位置を崩さず、またこれから多くの中小企業経営者が引退時期に差し掛かり大廃業時代を迎えるという予測もある中、M&A業務のノウハウを中小企業にとって身近な存在である地場の税理士・公認会計士へと落とし込む活動も精力的にされているとのこと。「虎ノ門会」と呼ばれるその会に実は私も後日島田氏の紹介で顔を出すことになりました。(タイガーマスクの「虎の穴」みたく何やら怪しげですが、そこでもかなりコアな情報が飛び交ってます。。)

 続いて第3回からスタートしたのが第二部のバディ形式ー起業家とその右腕であるCFOや支援人材が二人三脚でいかにして創業からの苦難の道のりを乗り越えてきたのかを吐露するというセッションです。

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 第3回では、eスポーツのメディア事業を展開されている株式会社SAMBARの堀池広樹氏とコバコ株式会社の谷口悠一氏のお二人。

 お二人は大阪イノベーションハブで実施されているシードアクセラレーションプログラム・OSAPで知り合いウマが合って、なんだかんだと一緒に並走してきたご関係で、谷口氏は公認会計士として当時トーマツに所属されていましたが、今はその職を辞し、なんと出身地である兵庫県佐用町で”泊まれるコワーキングスペース”を開設されるという変わり者、、いえ、大変な熱意のある方です。実際に足を運んだ方が口にされるのは「とにかく遠い」、ただ地域のため、生まれ故郷の活性化のため尽力される姿に非常に感銘を受けました。その飄々とした語り口のどこにそんな熱意が潜むのか、そのギャップがまた魅力的。

 一方の堀池氏は対照的にまさに怖いもの知らずのイケイケベンチャー。VCからの資金調達もキャッシュアウトの危機も圧倒的なポジティブさとメンタルの強さで乗り切る!

 eスポーツビジネスを海外で広めるべく、フィリピン展開までされている凄まじい行動力の持ち主。実はこの後の交流会で、堀池氏とノリでフィリピン行きましょうという話となり、堀池氏やSOLのデザインや大江橋北詰ホンマモン計画のロゴ制作をしてくれたミル株式会社の代表取締役・春日崇喜氏とフィリピン・マニラで珍道中を繰り広げることになるのですがそれはまた別のお話。

 はたから見ていると「危なっかしい、やめておいたほうがいい、引く勇気も大事」、そうアドバイスしたくなるようなことに頭から突っ込んでいく向こう見ずさは決して褒められたものではないかもしれないですが、失敗しないと見えない景色もあり、それでも這いつくばって歩を進めることで見えてくる景色があるのも事実。

ホンマモン計画はそういう人たちを応援する場でありたいと強く願います。

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(写真は堀池氏らと訪れたフィリピン・マニラでの一コマ。奥に建設中のビルが聳え、眼下には掘っ建て小屋のような貧しい街並みが広がる。)

 (其の三へと続く。)

次回第10回・2月13日(水)の詳細およびお申込みは下記より。

 

 

 

 

大江橋北詰ホンマモン計画のこと。〜其の一

2018年4月24日(火)にイベント・コワーキングスペースScribble Osaka Lab(通称SOL)をオープンしてから、およそ10ヶ月が経過しました。

 

店舗の運営経験もノウハウもないままここまで突っ走ってきましたが、ふとたくさんの方々にお世話になっているにも関わらずその場限りで終わらせてしまっては失礼だなと思い、何らかの記録として残すべく急きょイベント報告などをブログに綴り、対外的に発信していくことにしました。

 その中でも何回かに分け、昨年5月からスタートした大江橋北詰ホンマモン計画のことを書いていきたいと思います。(ただ会の趣旨が「ベンチャー業界の不都合な真実をぶっちゃけトークする」というアナーキーな会なのでほとんど書けないことばかりなのですが…)

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事の発端は、数年来お世話になっているプルータスコンサルティングの中川卓也氏に、淀屋橋コワーキングスペースを開設するので何か起業家向けのイベントを開催したいという相談を持ちかけたことにあります。

中川氏は日本のベンチャー業界の中でも特異な存在で、北海道から沖縄まで、一日のうちに複数の地域を駆けずり回り数多くの起業家と接点を持っておられる稀有な存在です。朝6時から深夜までFacebookでメッセージがビュンビュン飛んできます。とくに深夜は過激発言も多く返答に窮することも。。

それはさておき、中川氏は私が何の後ろ盾もなく大阪にコワーキングスペースを開設することを意気に感じてくれ、これまで全国行脚して築き上げてきたつながりの中から瞬く間に錚々たるスタートアップや支援人材の方々の予定を数ヶ月先まで抑えてくれたのです。

今年1月で9回目を迎えましたが、それまで登壇いただいた方々から私自身が得た刺激や熱量を考えただけでも、SOLを開設したことに十分価値があったと感じさせられる次第です。その一端でもこのブログで伝えていければと思います。

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 さてさて、当初起業家向けのイベントをやろうと決めたときはまだ名称は決まっていませんでしたが、”ホンマモンの起業家や支援人材が本音と本気でぶつかり合う”という会の趣旨から、中川氏の発案で「大江橋北詰ホンマモン計画」に決定。

資本政策やファイナンスなど起業家のリテラシーを高め、投資家と起業家の間の”情報の非対称性”を少しでも無くして”ホンマモン”のベンチャーエコシステムを構築していこうというのが我々の目指すべきところとなりました。

箱のキャパからも20〜30名が限度なので、セミクローズドに思いの丈をぶちまけるには打ってつけ。時折ポンポンと飛び出す中川氏のぶっ込み発言に引きずられてしまうのか、はたまた大阪のムードに気が緩むのか、ここに来た登壇者一様に口を揃えて「こんな話今までしたことなかった」、「しまった、喋りすぎた」というくらい。

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とはいえ出だしの5、6月は緩やかにスタートしました。「スタートアップのためのエクイティ・ファイナンス」の基礎編・応用編というタイトルで中川卓也氏が資本政策のイロハを手ほどき。また6月から迎えた初のトークゲスト、AchiTec株式会社・取締役CFOの藤中達也氏がシリーズAの資金調達を実現するまでの苦労や裏話を開陳してくださりました。

「VCは少なくとも20社以上会え!たかだか2社や3社断られたくらいで諦めるな!」

そんな命令口調ではございませんでしたが、換言するならこれが藤中氏からの端的なメッセージでした。

藤中氏もそうですが、登壇者の共通項として私が感じているものーそれは誰のせいにもできない起業家やスタートアップにジョインするという道を選んだことに対するある種の清々しさ。

キャッシュが尽きかけて「死の谷」や「魔の川」の淵に立たされることも、人との出会いやふとした僥倖に恵まれ土壇場でそこを乗り越えることも、資本政策に無知であったがため自分の作った会社を追い出される憂き目に遭うことも、次のステージに進むためには当初の創業メンバーと袂を分かたねばならないという非情な決断も、いずれも自分の判断と選択の積み重ねであり、言い訳も逃げることもできない。それら一切合切引き受けて今この場にいるということの清々しさ。その笑顔のまなじりの皺にどんなストーリーが刻まれているのか、ついつい勘繰ってみたくなったりもします。

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そうした彼らの魅力を少しでも伝えることができればと思います!

(其の二へと続く。)

次回第10回・2月13日(水)の詳細およびお申込みは下記より。

honmamon20190213.peatix.com

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 

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